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伊藤 サム(いとう さむ) 氏
ジャパンタイムズ元編集局長。一橋大学卒。高校時代に米国、大学時代に英国留学。
ジャパンタイムズ記者時代には、外務省、首相官邸などを担当。外信部長、編集局長などを務める。
2008年9月退職、著述業に。ニュース英語の読み解きノウハウに関する著書多数。
2009年4月より、NHKテレビ・ラジオ「
ニュースで英会話」講師。

英会話、プレゼンテーション、交渉、議論、英語的な論理性が必要なビジネスパーソンにとって、ニュースはまさにぴったりの教材です。文体が論理的で、すぐ理解でき、さらに相手に誤解を与えないような論調になっているからです。
ニュースや新聞は活きている本物の教材です。ネイティブ向けに書かれている英字新聞はレベルが高いと思われがちですが、雑誌や小説よりは平易です。なぜなら新聞は家族で読む媒体であり、子どもも読めなければ家庭購読に結びつかないからです。従って、日本人でいえば、高校生程度の英語力があれば、理解できるように書かれています。AP通信社では「中学生でも読めること」という基準を設けています。だから構文自体はそう難しくはありません。日本語の新聞で読んだ記事はさらに理解しやすいでしょう。
英字新聞の特徴は、バイアスが比較的少ないことです。様々な人種や職業の人々が読むわけですから、ナショナリズムの眼鏡がかかりにくいのです。
例えば、ノーベル賞受賞の記事、アイススケートの記事、日米貿易摩擦の記事など、どこの国の人が読んでも不公平にならないよう、出来うる限り客観的かつフェアに書かれており、また出典も明記されています。「誰が何を言ったか」ということが明確になっています。
さて、この新聞を学習素材とする場合の注意点ですが、学校の勉強の延長で一語一句の意味を知ろうと、第一面から辞書を引きながら読むのは好ましくありません。第一面はいわば連載ものですから、背景の知識がないと理解できないことが多いです。それから語彙。ニュースに出てくる語彙は辞書を引いてもわからない場合があります。和英辞典は訳語、英英辞典は定義ですから、使われている語彙の意味がぴったりあてはまらないこともあります。
前後の文章から意味を推測することも大事です。そしてたくさんの量を読むこと。やさしい文章で構わないので、とにかく頭から火が出るくらい読んで見て下さい。力がつきます。コツコツもいいけれどガンガンも効果的です。同じ単語にいろいろな角度から出会う事で、その文章で使われている単語の本当の意味を把握することが出来るようになります。
第三面あたりから読んでみてはどうでしょう。好きなものを読むと頭に残りますよね。
学校の授業のように、すべてを理解する必要はないのです。
新聞の場合、リードにニュースの要約がずばりと書いてあります。文章構成は日本の「起承転結」とは全く違います。忙しい人たちがほしい情報をすぐに収集できるよう、冒頭に結論を書いてしまいます。それがニュース英語です。
英字新聞を授業で使う場合について考えてみましょう。
ニュースは生きた教材で、様々な種類の記事がありますから、生徒が自主的に選ぶことが出来ます。選んだ記事の効果的な活用法についていくつかあげてみます。
1) ポイントを探して下線を引く。
2) ポイントの要約を最初は日本語で書く。次に英語で書く。
3) ポイントの要約を日本語で話す。次に英語で話す。
4) クロスワードパズルやクイズを取り入れるなど楽しく学ぶ。
5) 見出しを素早く正しく理解する。